糸球体腎炎とは
糸球体の炎症によって蛋白尿や血尿が出る病気を総称して糸球体腎炎と呼びます。糸球体とは腎臓にある血液をろ過する部分で、老廃物の除去に重要な働きをしています。通常1個の腎臓に100万個くらいありますが、糸球体腎炎になり進行すると糸球体が破壊され、血液のろ過が十分できなくなります。さらに症状が進行すると腎不全の原因疾患になります。腎臓だけが障害される原発性と、膠原病や紫斑病などの病気に伴って起こる続発性の場合があります。
症状
【 急性糸球体腎炎 】
一般に子供に多く、先行感染(病気に先駆けて感染を起こすこと)をきっかけに、腎臓に急激に炎症が起こります。
【 慢性糸球体腎炎 】
尿検査で血尿および(あるいは)蛋白尿が長期(少なくとも1年以上)にわたって遷延・持続するものをいいます。
診断
【 尿検査 】
持続性(少なくとも1年以上)の血尿、あるいは蛋白尿があれば慢性糸球体腎炎が疑われます。
【 血液検査 】
腎機能を調べるために、血清クレアチニンやクレアチニンクリアランスなどの血液検査を行う場合があります。
【 腎生検 】
腎臓の組織を直接調べることによって、組織学的病理所見がわかります。予後の判定や治療方針の決定にも有用な検査です。
治療
【 生活の工夫 】
持続性腎機能に応じて生活規制を行いますが、少なくとも過労を避けることを指導します。さらに血圧、腎機能、尿所見によって作業・運動を制限したり、脱水にならないように水分の補給に留意します。
【 食事療法 】
一般的には食塩制限、蛋白制限と必要なカロリーの補給が原則です。水分の摂取は、浮腫を伴わないかぎり、特に制限しません。
【 薬物療法 】
蛋白尿減少を目的に抗血小薬、血圧コントロールのために降圧薬原疾患によっては、副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制薬、浮腫にたいする利尿薬などを使用します。